親の人生を子供に歩ませない
突然ですが、私が関心を寄せている人の中に2人の工藤さんがいます。
ひとりは横浜創英中学校の工藤雄一校長
もうひとりは元プロ野球選手の工藤公康さんです。
今回お話しするのは、球界のレジェンド工藤公康さんです。
40代、50代の男性の多くが知っているこの方、アスリートでありながらも頭脳派です。
現役時代も監督時代もこの方の活躍の原動力は、失敗した後の行動だと言います。
失敗を課題と捉えて、原因を観察・分析し、調べて仮説を立てて、実行して考える。そしてこれらの過程をストイックに楽しむ。
とにかく問題解決のために学んで考えるのが身上のようで、監督時代に筑波大学大学院に入学してスポーツ医学を学ばれ、博士号をとられたのは有名ですが、その時の面白いエピソードがあります。
工藤さんが大学院に提出するためのTOEIC(英語能力テスト)を受けた際に、4択問題なのに、工藤さんはわからないところは空白で出したそうです。
1点でも高い点を取るために選択すればいいのに、「それだと、今後勉強してどれだけ上がったかわからなくなる。今の実力が知りたいんだから」と述べたそうです。
今できていないことは何か。足りないものは何か。点数を稼ぐよりも、それを知ることのほうが大切だという、テストの本質をとらえた正論です。
こんな工藤さんの数々のエピソードの中で私が最も感銘を受けたのが、お子さんの教育法です。
現在は成人されているご長男は俳優業をされていますが、その役柄のために野球をしなくてはならなくなり、その時初めて親子でキャッチボールをしたそうです!
驚くことに球界のレジェンドは息子さんが子どもの頃は、野球を強要させることも教えることも一切しなかったそうです。
たまたま息子さんが仕事で野球をしなければならなくなって、初めて父親に正しいボールの投げ方を教えてもらったというのです。
そして話はさらに続きます。
このとき工藤さんは投球の1~10までを丁寧に教えたわけではなく、とりあえず息子さんに投げてもらってから、問題点を気づかせ、少しのアドバイスをしながら、息子さん本人に改善点を考えさせたと言います。
このお話は比較的最近のことだそうですが、このような当事者が主体的に問題と向き合い、自ら考えて工夫する指導法は、工藤さんが現役時代でも監督時代でも他の選手に対して取り組ませていたものと言います。
さて一般的に子育てをするときは、何か特別なことがなければ自然と親の価値観(親がこれまでの環境で培ってきた経験や知識など)で子供を躾けたり教育していくのが自然でしょう。
しかし子育ての本質を学べば学ぶほど、親の価値観を押し付けすぎるがゆえに、親の人生を子供になぞらせることが危険なことだと気づきます。
具体例で言うと、野球が好きで得意で、野球ばかりやってきた親が、子どもにも当然のように幼少期から野球ばかりやらせる。とか。
学校の勉強ができて、試験を無難にパスして大手に就職した親が、子供に幼児教育や先取学習をさせるような塾にいかせるなど。
その子の資質が親のそれと近いものだとしても、私はそういうことをする親を危惧しています。
なぜなら、たとえ親子であってもそれぞれは別の人間で、別の人生を歩むべきだからです。
親が好きで得意なものが、子供もそうなるということは稀ですし、好きでも得意でもないことに幼少期の大部分をつぎ込み、本当に好きで得意になるものを見つけられなかった場合の損失は計り知れません。
我が子に幸せな人生を歩んでほしければ、確率論的に考えても、結局は多くの体験をさせて、たくさんの失敗をさせて、そのつど主体的に考えさせて楽しむ。
これに尽きるのではないでしょうか。
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